大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)118号 判決

被告人 田中宗男 外

〔抄 録〕

池田和夫弁護人(被告人田中宗男の弁護人)の控訴趣意論旨第一点について。

原審の援用する原審公判廷における被告人両名の供述、小野光夫の被害始末書及び原審では援用していないが所論の小野光夫の検察官に対する供述調書を綜合考察するときは、本件丸は丸の積荷(内容は銅線屑)は所謂封印と言うものはしてなかつたがシートをかけロープ(綱とも紐とも言われている)がかけてあつたこと、こと荷物の運送責任者は株式会社日吉回漕店であり、機帆船丸は丸の船長は被告人田中宗男であつたこと等が認められる。論旨は以上のような場合シートとロープ内の荷物の占有は右丸は丸の船長にあるとの主張であるが、仮に所謂封印はなくとも右のような場合はシートとロープ内の荷物の占有は船長にはなく運送人日吉囘漕店にあると解するのが相当である。然らば右のような荷物(銅線屑)を抜きとつた場合成立するのは窃盗罪であつて、所論のような横領罪ではない。従つて原判決には所論のような事実誤認はない。論旨は理由がない。

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